
AWS約97%のシェア・OCI参入でコスト競争激化——デジタル庁が調達する認定クラウド5種類と自治体標準化20業務の関係をGCInsight編集部が分析。935団体が特定移行支援に認定された今、基礎から整理。
AWS約97%、残り3%をAzure・GCP・OCI・さくらが分け合う——これが2026年現在のガバメントクラウドのシェア構造だ。935団体・8,956システムが特定移行支援に認定され、全国1,741自治体の過半数がいまだ移行途上にある。民間企業でいえば、グループ全社にSalesforceを導入する方針を出したが、半数の事業部がまだオンプレのExcel管理から抜け出せていない状態だ。編集部は、ガバメントクラウドの基礎知識を改めて整理することが、現場の意思決定の質を底上げすると考えている。
「ガバメントクラウドとは何か」を、あなたは議会や住民に1分で説明できるか。
ガバメントクラウド(Government Cloud)とは、デジタル庁が調達・管理する政府共通のクラウドプラットフォームです。 国・地方自治体が行政システムを共同利用することで、コスト削減・セキュリティ強化・運用効率化を実現します。
2021年の認定開始以来、AWS・Azure・GCP・OCI・さくらインターネットの5社が認定クラウドとして選定されています。
| クラウド | 認定年 | インフラシェア | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| AWS | 2021年 | 約97% | 最大シェア。国内自治体への採用実績が最多 |
| Azure | 2021年 | 約2% | Microsoft製品との親和性が高い |
| GCP | 2021年 | 約1% | データ分析・AI活用に強み |
| OCI | 2022年 | 約1% | Oracle DBとの統合でコスト大幅削減。AWS比55% |
| さくら | 2024年 | 約1% | 国産クラウド。データ主権の観点で注目 |
地方公共団体情報システムの標準化に関する法律(標準化法)に基づき、全国1,741自治体は2026年3月31日までに20業務のシステムをクラウド対応の標準準拠システムへ移行する義務があります。
対象20業務は以下の通りです。
これらの業務を担うパッケージソフトウェアが、ガバメントクラウド上で稼働することが求められています。
2026年3月31日が移行期限ですが、現時点(2025年3月)で完了率50%未満の自治体が多数存在します。 本サイトの「遅延リスク一覧」では、移行が遅れている自治体を可視化しています。
主な課題として以下が挙げられています。
Oracle社の試算によると、Oracle DB依存のシステムをOCIに移行した場合、AWS比でTCO約45%削減が可能とされています。 一方で、標準化対応パッケージのSaaS利用料が新たに発生するため、単純な比較は難しい状況です。
本サイトの「コスト効果」ページでは、クラウド別のコスト比較データを公開しています。
ガバメントクラウドの基本的な仕組みに対しても、現場からは率直な意見が出ている。
X上の自治体SE「Meteor」氏は「ガバクラは余剰な投資。軽自動車でよかった人にベンツを乗らせている」(いいね94件)と、小規模自治体にとってガバクラがオーバースペックではないかという本質的な問いを投げかけている。
note.comの「標準化どうしましょう」氏は「コスト効率?何とどう比較して?安定性が最優先だよ」(いいね174件)と、コスト削減を前面に出す政策説明への違和感を表明している。現場にとっては「安くなるかどうか」より「安定して動くかどうか」が第一関心事だ。
高橋広和氏はnote.comでガバクラのコスト構造を基礎から解説し、59件のいいねを集めている。通信回線費・クラウド利用料・運用委託費という三層構造の理解が、ガバクラの基礎を正しく押さえるための出発点だと指摘している。
GCInsight編集部は、ガバメントクラウドが「政府共通クラウド」でありながら、実態としてはAWS一強(約97%)のプラットフォームになっている点に注目している。OCI・さくらの参入でマルチクラウドの選択肢は広がったが、自治体が実際に選択できるパッケージはクラウド基盤に依存するため、ベンダー選定とクラウド選定が事実上一体化している。編集部としては、認定クラウドの多様化と、クラウド間のポータビリティ(移行容易性)の確保が、長期的なコスト競争と自治体の選択の自由を担保する鍵と考える。現時点では「ガバクラ=AWS」という前提で計画を立てつつ、OCI・さくらの動向をウォッチする姿勢が現実的だ。
ガバメントクラウドへの移行は、単なるシステム更新ではなく、日本の行政DXの根幹をなす取り組みです。 本サイトでは、デジタル庁・APPLICの公開データをもとに、各自治体・各ベンダーの対応状況をリアルタイムで可視化しています。